法定後見制度は、本人の判断能力の状態によって「後見」「保佐」「補助」の三つの支援制度が準備されております。いずれにしても判断能力が不十分な方々の権利や財産を法律面や生活面から保護し支援するための制度です。Y様のお母様は「後見」相当と診断されておりますので、法律行為は全て成年後見人によってなす必要があり、遺産分割協議も例外ではありません。家庭裁判所に成年後見の申し立てをして、選任された後見人と遺産分割協議をすることになります。なお、当事者に利害関係があるため、相続人の一人が後見人の候補者に立候補しても、認められることはありません。ほとんど司法書士等の資格者代理人が選任されます。また、法定相続分より不利となる分割内容はまず通りません。本来、本人を保護し支援する制度ですから、遺産分割協議だけを目的として成年後見を申立てるのは少々無理があるのではないでしょうか。